バッタンバン滞在記

バッタンバン滞在記

休学中の大学院生。カンボジアのバッタンバンで 認定NPO法人テラ・ルネッサンスのインターンをしています。 自身の備忘録も兼ねて、3ヶ月半の滞在期間中限定でNGOのお仕事、 バッタンバンの街について日記形式でご紹介します。

Day052_インターンのお仕事紹介とNGOの働き方について思うこと

バッタンバン、終日晴れの一日です。
そろそろ乾季に入るのでしょうか…。
道路がぐちゃぐちゃにならないのは嬉しいですが、綺麗な雨水で体を洗えなくなるのは悲しいです。

そして、長期休みも残す所あと2日。
行きたい場所には行けたし、最終日の戦争博物館とAPOPO Visitor Centerは素晴らしかったので、大満足です。
残りはバッタンバンでおとなしく作業をして過ごします。

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そろそろ働きやがれ

このような作業日はいつもただのカフェの開拓日記になってしまうのですが、

そうえいば、自分が何をしているかについてそんなにたくさん書いていなかったので、今日は私が普段していることについて書こうと思います。

(ちなみにテラ・ルネッサンスインターンは時期によっても配属によっても得意なことによっても任される作業が違うので、ここに入ったら須らく本記事で紹介される仕事を任されるわけでは全くありません。)

1.ドナーさんへの報告書やお礼動画作成

カンボジア事務所でインターンに任されるメインのお仕事は、ドナーさんへの報告書類作成です。

基礎教育支援や、給食支援や、モデルファームや学校の屋根の修理など

特定のプロジェクトに特定のドナーさんがついて下さっている場合には、1ヶ月〜3ヶ月のペースでプロジェクトの進捗状況をご報告します。

また、特定のプロジェクトでなくても何かしらの形でカンボジア事業地に関わって下さった方や、

継続的にご支援を頂いている学校や支援者さんに、報告書や動画で事業地の様子を報告する場合もあります。

〇〇さんに〇〇事業を報告して下さいという仕事を職員さんから仰せつかったら、フィールドに行った際に(必要であればカンボジア職員さんに通訳してもらいながら)情報を収集して作成します。

2.月次レポートやブログ記事の執筆

テラ・ルネッサンスは、毎月、月次レポートで海外事業の進捗状況を報告しています。

アジア事業は毎月4トピックを提出するので、職員さんと手分けをして執筆します。

www.terra-r.jp

www.terra-r.jp

3.募金キャンペーンのページ作成

つい最近京都事務所から託されたお仕事は、11月15日から始まる冬季募金に向けて、以下のようなキャンペーンページを作成することです(この夏季募金のページも職員さんと一緒に作成させてもらいました😭)。

www.terra-r.jp

募金キャンペーンのキャッチコピーから、メインビジュアルとなる写真の選定、それからこのページに書く内容を必要であれば海外事業部にもヒアリングしながら執筆するのが仕事です。

月次レポートやこのブログが、わりと淡々に事実を報告する言葉を使うのに対して、キャッチコピーでは人の心を掴んで動かすための言葉を使わなければなりません。

大学の卒業論文の執筆で学ぶ言葉の技術って、説明すべき存在に対応した正確な言葉を用いて説明する文章を書く技術です。魅力的でなくてもいいから、とにかく一意に意味がとれる正確な表現で書くことが大切です(魅力的に書く必要は無いんだよ、と教えられたことを思い出します)。

一方で、こうした広告の分野は、どれだけ人に「伝わる」か「動かせるか」が勝負です。

女の子の登校率が上がると、子どもの死亡率が下がる。(unicef

adv.asahi.com

とか

「一本しか売ってなかった」と好きな子に嘘をついた(ポカリスエット

とか。

参考のためにいろんな企業さんやNPO/NGOのキャッチコピーを調べながら、うわあ、上手い…と圧倒されています。

さらに、どんなビジュアルを合わせるかもメッセージの伝わり方に影響を与えます。

インターンの作業をしてみて思うことふたつ

1. できることを広げる時間の確保という課題

他にも勝手に自分でやったりしていることはあるのですが、概ね作業はこのような感じです。率直にいうと、おそらく、同年代がお給料を得てしている仕事に比べると、ある特定の技術を教えてくれる先輩が少なかったり、特定の技術に絞って勉強する時間がとれていない分、質は劣ってしまっているような感じがあります。

「できること」を広げるには、やっぱり地道な勉強しかありません。作業をして完成品が出来上がれば達成感はありますが、自分の考えられる範囲や技術が広がったかどうかはその作業を通じてどれだけ新しいことを学んだかに依存します。

インターンをしてみて、特に国内事務所の人手が足りず、インターンも職員さんもなかなか新しいことを勉強する時間をとれないのは一つの課題だと思っています(他の企業ってどうなんだろう)。

2. 技術を持った人をNGOに巻き込みたい

関連して、もうひとつ。NGOの職員さん(特に国内事務所)の働き方を見ていると、専門分野でないことをいくつも掛け持ちせねばならない働き方だな、と思います。1人の人が、刊行物すべてをデザインをし、ファンドレイジングの戦略を練って募金キャンペーンからふるさと納税まで資金管理をし、募金のキャッチコピーを考えて、さらにはHPや顧客情報管理システムも統括する。

色々なことができて楽しい働き方だと思います。実際に職員さんの充実した顔を見ていると、素敵な働き方だと心から思います。

しかし、キャッチコピー1つとっても、ユニセフのように外部委託して専門技術を持った方に作成してもらったコピーと、技術のない人間が色々な作業を掛け持ちしながらやっとこさ考えたコピーの質はどうしても異なります。(ちなみに、テラ・ルネッサンスにはデザイン技術を持った職員さんがいて下さっているおかげで、他の団体と比べても刊行物がとても綺麗です。)

現在の状況は絶対良くない!!断固変えるべき!!というのではなくて、そういう働き方は残ってもいいけれど、専門技術を持った人が、もう少しだけNGOに関われたらきっと私たちがやりたいことはもっとうまくできるのに、という歯がゆい思いがあります。でも、(特に国産の)NGOには技術者を雇うお金がない。

企業からNGOに出向する形で働ける仕組みがあったら面白いのかもしれません。法人がNGOをサポートする一つの形として、普段は大企業で働くエンジニアや、デザイン担当者や、広告担当者や翻訳者といった技術者を、特定のNGOに派遣する制度。

(とはいえ、人を一定期間出すってまとまった寄付金を出すよりも企業さん側にずっと負担をかけるものなのかもしれない。企業さん側のインセンティブを工夫しないとちょっと弱いかな…。)

.......ちなみに、上記の記述は仕事への不満を示すものではまったくありません(笑)私個人としては、このような作業を通じて例えば院で学んだこととのつながりが見えたりして楽しいし、課題の背景も調べたりするので勉強になります。任せて頂いてとても嬉しい限りです。

本日の出費(4000KHR ≒ 1.0USD)
  • レストランで昼ごはん(バナナパンケーキ):2.5USD
  • レストランでバナナシェイク:1.0USD
  • 屋台の揚げパン2つ:0.25USD
  • アイスコーヒー:1.0USD
  • レストランの晩ごはん(揚げ魚の野菜のソースがけ):3.5USD