バッタンバン滞在記

バッタンバン滞在記

休学中の大学院生。カンボジアのバッタンバンで 認定NPO法人テラ・ルネッサンスのインターンをしています。 自身の備忘録も兼ねて、3ヶ月半の滞在期間中限定でNGOのお仕事、 バッタンバンの街について日記形式でご紹介します。

Day025_家庭菜園トレーニング/体に残る不発弾

カムリエンは一日晴れでした。

家庭菜園トレーニン

カウンターパートNGOの先生たちは今日明日の2日をかけて、JICA事業対象者に家庭菜園トレーニングを実施します。家庭菜園は、主に支出の削減を目的にして実施しています。トレーニングでは、毎月2種類の野菜を取り上げ、トレーニング終了後にその2種類の種を配布します。

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対象世帯の家庭菜園の様子

事業対象者は100世帯あるため、地域ごとに4つのグループに分けて4回実施をします。1つ目のグループは近隣の学校をお借りして行いました。

足が悪い人や遠い人は、テラ・ルネッサンスの車でピックアップしていきます。大雨だと特に足の悪い人は来れなくなってしまうそうです。

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午前の部
  • 男性40〜50代:9人
  • 女性40〜50代:9人
  • 若い女性(10〜20代):2人(この2人は家族の代わり)
  • 小学生のこども:3人
  • 赤ちゃん:1人

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14人の人がお休みでした。キャッサバの収穫時期で、日雇い労働に行かねばならない人が多いようです。家族の体調悪く、面倒を見なければならないという方もいました。

メモを取っている人は2名ほど。それほど多くいません。後から聞くと、読み書きができない人もいるのだということでした。

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用意するもの、水をあげるタイミング、種を継続的に摂取する方法など、野菜を育て方の説明を行います(例えば、種を植える前に一晩水につけておいてね、とか)。

一人の男性が積極的で、一度何かを指摘しに前に出たりしていました。日本の学校でも一緒ですが、前列は積極的で後列は少しつまらなそうな顔をしているという構図は変わりません。前列にいた女性は、以前テラ・ルネッサンス、ありがとうとお礼を言ってくれた方でしたし、前列のおじさんたちは先生の話の合間に何かを質問していました。

野菜を育てているかー?という呼び掛けには全員が手を挙げていました。

ちょうど1時間ほどでレクチャーは終了し、そこから15分ほど質問タイム。参加者の方からは、以下のような問題があげられました。

  • ヤギが皮膚に湿疹ができてしまってかゆそう
  • 水が足りない
  • 鶏が消えてしまう。おそらく何かに食べられているか、誰かに捕まえられてしまっている。

先生がこの場でアドバイス出来る問題には、回答を与えていきます。例えばヤギの病気については、かゆそうに見えたときは体を洗ってあげるように指導していました。

最後に、今日レクチャーした野菜の種を配って終了です。今日は、かぼちゃと Greeen Chinese の種を配ったそうです(Greeen Chineseという野菜が検索しても出てこなかったので私が聞き間違えてしまった可能性があります…が、何かしらの葉物野菜です)。

終了後は、本日来ることができなかった世帯を回り、野菜の種を配布しに行きました。

午後の部

午後の部のトレーニングは、テラ・ルネッサンスのフィールド事務所で行いました。13時半ごろからスタートし、15時までやっていました。

  • 40代〜60代の男性:9人
  • 同世代女性:5人
  • 中学生くらいの男の子1人(彼は両足のないおじさんの息子、お父さんの代理できていた)

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こちらも14人のお休みでした。

午前の部、午後の部ともに、参加率とレクチャーの仕方は改善の余地がありそうです。例えば今回であれば、特定の野菜の収穫が忙しい時期などは住民に前もって聞いておき、避けることは可能そうです。

レクチャーについては、読み書きができない方にとっては、講義1時間分の内容すべてを、家に帰って実践をするのは難しいのではないか?と思いました。これに関しては、モデルファームができたら実践も加えて指導を行っていくそうです。家庭菜園は現在対象世帯の9割の方が実施していますが、その中で教わったことをどれだけ実践できているのかは良く分かりません。各家庭を回る際に、また聞いてみます。

JICA事業フォローアップ

家庭菜園トレーニングの後は、フィールドへやってきた職員さんについて、フォローアップの様子を見学させて頂きました。

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聞き取りをしている様子

質問項目に沿って、回答をスマートフォンで記録していきます。決して動画を見ながらおしゃべりしているわけではありません(笑)

4世帯を回りました。

  1. カフェの店長の家:カフェでは、主に40〜60代の男性がyoutubeで軍鶏の戦いやボクシングを見ながら、お金をかけて盛り上がっていた。お母さんが出てきてくれたが、半年くらい前に息子が出稼ぎにいって以来、帰ってこないという。職員さんがここにくると最近はいつも心配そうに話してくれる。出稼ぎから戻らないという事例はこの世帯だけでなく時々見られるという。

  2. 以前鶏が30匹、病気でなくなってしまった家:木造一階建て、5m×8mくらいの大きさ。裏には庭もある。60代の男性と赤ちゃんを見ている20〜30代くらいの女性が1人いた。前回、カウンターパートの先生にレクチャーされた飼料を与えてからは、鶏は今の所死んでいないという。

ある世帯で、タイから輸入した鶏に、輸入品のケミカルな飼料を与えて、4ヶ月で5キロになったという丸々とした鶏を見ました。写真だとわかりにくいですが、異常な大きさで、間近で見ると結構ショックを受けます。

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最近は、このように異常な早さで成長させられた家畜の肉が大量に輸入されています。化学飼料を使った大量生産の話は映画『フード・インク』に詳しいそうです(by 駐在員さん)。

豚銀行の記事(下記URL)でも書きましたが、テラ・ルネッサンスの進めている家畜銀行は、対象世帯の収入源を増やすのみならず、「化学飼料を使わない家畜飼育を普及する」という目的もあります。

大量生産はできないけれど、身の回りにある自然に生えた飼料を与えて飼育した、健康にもよくおいしい肉の良さが広まっていってほしいです。

guratony-in-battambang.hatenablog.com

体に残る不発弾

家庭菜園トレーニング終了後の事務所で。

不発弾の被害をうけた男性が、スタッフに最近できたという足の傷を見せていました。

彼の左足の太もも横は、不発弾事故で大きくえぐれています。しかし、今日見せてくれたのはその傷ではなく、膝にできた直径1cmほどの傷口。

不発弾の事故の際に体に残ってしまった破片が、中から出てきてしまったんだそうです。関節の動かし方で時々このようなことが起こるといいます。

顔や背中や足に破片が残っているのが分かるそうで、皮膚を触っては「ここにあるよー」と見せてくれました。

先日回った世帯では、体に残った地雷の破片の影響で突然亡くなってしまった方もいらっしゃいます。

恥ずかしながら私は、地雷や不発弾がこのように体の中にまで残ることを、カンボジアに来て知りました。

本日の出費(4000KHR ≒ 1.0USD)
  • 昼ご飯:4500KHR
  • 夜ご飯パンケーキ:2500KHR